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概要

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Saga University Library Bulletin,No.44,October 2020古くて新しい図書館に副館長城戸瑞穂佐賀大学附属医学分館は、佐賀医科大学創設時より緑の美しい丘に面し堂々たる姿で鍋島キャンパスの中央に在ります。図書館は、多くの先人のご尽力により、医学部学生の学修の場として、医療者や研究者の情報収集の場として、そして患者様など地域の知の提供の場としての大切な役割を40年間果たして来ています。ところが、今年はこれまでの医学分館の歴史の中でも初めてのことであるヒト感染症の拡大による閉館を余儀なくされました。コロナ禍とも呼ばれる私たちの社会の生業を大きく揺さぶる感染症の拡大により、人との物理的な間近な関わり合いを変化させることが必要となっています。幸いなことにデジタル技術の発展のおかげで、遠隔講義や実習の一部でさえ教育や研究を実現することが可能だということが判りました。今、私たちは、これまで当たり前に思っていたことが当たり前でなかったことを実感する新たな機会に直面しています。私たちの周囲1メートルほどで行われること、つまり、人との関わり合いや医療、育児、介護、教育の一部も今の技術では代わりがないこと、それらが私たちの幸せで豊かな感情と深く関わることも改めて感じ入っています。図書館の果たす役割もデジタル技術により大きく変遷を遂げ、図書資料の保存管理、貸出、閲覧、学習環境整備などに加え、情報検索、学習支援など学術情報活用や流通の要請が高まっています。古からの文字に親しみ、文字により伝えられる豊かな情報を楽しみ、それぞれの興味のある世界をワクワクした気持ちで広げながら、こうした転機を好機と捉え、新たなあり方を模索しています。異常気象を呼ぶ地球の温暖化、国を構成する人口や経済の変化、withコロナの常態化など急速に変化する社会の中で大学の知である教育や研究を守るために、図書館という豊かな財産を次の世代へとどのように伝えていくのでしょう。医学分館は地域の医療の最後の砦としての附属病院を支持する機能も担っています。多様性と包摂性を実現するための新しい学びの方法を身に付けながら皆様のお力添えをいただき、共に考えて参りたいと思っています。図書館は、山下宗利理事・副学長の統括の下、大島館長をトップとして、総勢23名が本館と分館で真摯にこれらの課題に向き合いながら着実な歩みを進めています。老朽化した図書館施設の設備機能改善の概算要求を文部科学省に今年度も提出しています。皆様に愛され、親しみをもって訪れていただける図書館の実現には、多くの皆様からのご支援、ご協力、そしてご鞭撻が欠かせません。古いけれども、古くさくはない、新しい図書館の実現に、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。2